【感想】人間が人間らしく振る舞えるのは、群れていない時だけ【伊坂幸太郎 火星に住むつもりかい?】
ミカミでございます。
読書欲求が最近出てきて、しこたま読みものを漁っています。
今回は伊坂幸太郎先生の「火星に住むつもりかい?」を読みました。
「平和警察」が日本を監視し、逆らおうとする者は問答無用で時代錯誤のギロチン処刑。ここまででもかなりどん引きワールドですが、さらに怖いのが作中の群衆の心理状況です。ギロチン処刑を見世物的に楽しむが如く、「やってしまえ、やってしまえ」と周りはまくし立てます。
僕らの一般的な価値観からすれば・・・・・・・・・
やべえ・・・・・・みんなサイコパスかよ・・・・・・
ってなりますが、実はこの時点で僕らが伊坂氏によって「平和警察=悪」というバイアスをかけられているのだと気付いてしまいました。
作中の平和警察には、彼らなりの正義があります。
彼らなりの信念のもと行動しているはず。
しかし、小説の文章を通すことで僕たちは「平和警察って悪者!」って思ってしまいます。
じゃあ、相手側の正義を完全に把握して、それも酌まないといけないのか、というのも違う気がします。だってそんなん無理だもん。
どこかで折り合いをつけて、生きていかなければいけないのかなー。
とかなんとか、信条とか理念とか、わかり合えないことがたくさんある世の中で、「正義って何?」っていう超テーマを問いかけている作品なのかと思いながら読みました。
あ、個人的には刑事部長みたいな「無能と見せかけて実は有能キャラ」、大好きです。
次は何読もうかなー。
ミカミ